化けない狐のB級応援!

一流所ではないし名脇役でもないけれど、ちょっとは活躍していて。 ブレイクはした事ないけれど、プチブレイクはしていて。 そんなB級を応援しよう。

まだ奴が残っていた。

 今場所も両横綱が休場。上位陣が満身創痍な場所が続きます。

 本命不在の中、誰にでも優勝チャンスがあります。もしかしたらこの力士にも、とタニマチにとっても力士本人にとっても緊張感が高まってきている事でしょう。

 

 中日を前に、貴景勝、遠藤、正代、照強、徳勝龍の5人が1敗で並んでいる状況です。まだ半分以上残っているとはいえ、優勝を意識し始めて各好調力士の動向が注目され始めました。

 

 まずは大関貴景勝。ここ最近、大関の優勝自体がありません。それは、綱取りの話題から遠ざかっている事を意味します。稀勢の里横綱昇進から3年。随分と昔の事のようにも感じられ、そろそろ間が長くなってきました。この過渡期、終止符を打つには新たな若い横綱の存在は必項でしょう。

 その幅の狭さから押し相撲は横綱になれないと長らく言われてきました。それは間違ってはいないでしょう。しかしながら、今貴景勝ほど上位で勝ち続けられる力士はいるでしょうか。本命不在の今だからこそ、貴景勝にとってはチャンスとなるはずです。いいえ、今しかチャンスが無いという覚悟が必要でしょう。

 

 そして遠藤。大相撲人気のV字回復はこの人の存在なくして語れません。当時は一時の人気だろう。相撲スタイル的にも、やがてはミーハー人気より玄人人気のほうが高くなるはずだと予想していました。ところがいつまで経っても人気の衰えを見せませんでした。CM効果でしょうか、これには驚かされました。

 しかし遠藤は今、入門以来一番強い時期を迎えています。光速で昇進してきたあの頃よりも地力を感じさせます。三役で勝ち越しを経験したことで、高見盛は既に超えました。あるいは一躍大関候補に化けるかも知れないという可能性すら感じさせます。もしかすれば炎鵬など後続の人気力士達に注目が移り、プレッシャーから解放されたことがプラスに働いているのかも知れません。

 今場所の白鵬戦。白鵬がこれまで負ける時には、白鵬側に油断があり墓穴を掘る、初見殺しの罠に嵌る、故障等で明らかに白鵬にやる気がない。この3つのどれかでした。今場所の遠藤のように技術で白鵬を超えた力士が果たしていたでしょうか。私が思うに、スピードで白鵬を超えた日馬富士以来だと考えます。

 人気の力士から実力の力士へ。今我々は力士が新たな境地に達する瞬間を目にしています。

 

 さらには正代。この人も、上がってきた時期には大きな期待を背負ってきました。しかし立ち合いの弱さ、そして何よりチキンハートが出世を阻み続けました。

 正代のネガティブは筋金入りで

 

新十両会見で誰と対戦してみたいか聞かれ 誰とも当たりたくない

明日への意気込みを聞かれ 取組の相手を想像すると緊張からご飯が食べられなくなる

大関昇進を期待され一年目標は 現状維持

稽古の手応えを聞かれ あったらいいんですけどね。ないです。

白鵬との初対戦を前にして 無事に生還できればそれでいい

 

 一部では相撲繊細オバケと呼ばれているとか。

 

 そんな正代ですが、ハマれば強いのは以前から分かっていました。ロマンがあるのです。これまでネガティブだった者がネガティブになりようがない栄冠を掴む。夢があって良いじゃないですか。

 

 そして照強。この力士は以前にもこのブログで取り上げました。

kamikemono.hatenablog.com

 とにかくツラ相撲が特徴的な力士で、好調が続けばと毎場所思わされては、負け始めると止まりません。

 しかし今場所はそれが理由で注目されている訳ではありません。

 照強の誕生日は1995年1月17日。言わずと知れた阪神淡路大震災の当日。そして出生地は震源地でもある淡路島でした。

 当然場所前からその事について何度もインタビューを受けています。私自身、この震災の少し前に関西で誕生しているため、この力士の事は意識していました。

 そんなあちらこちらで記事を見掛けた力士が偶然にも優勝争いをしている。不思議な偶然もあったものです。それを必然の実力と言わせる事は叶うのでしょうか。

 

 このように、今場所は誰が優勝してもドラマがあり、面白いです。できれば全員優勝させてあげたい

 けれども、叶わぬ夢があってこそその先に栄冠が存在するのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7日目終了時点優勝争い先頭

貴景勝

遠藤

正代

照強

徳勝龍

 

 

 

 誰か忘れてはいませんか?

 相撲関係の記事をあさっても、彼に主眼を置いたものは皆無。なぜなら非常に相撲ファンからの認知度の低い力士だから。

 三賞の経験はなく、最高位は上位に当たるか当たらないかの4枚目。当然あの大一番というものは存在しない。

 幕内と十両を行ったり来たりなよくあるエレベーター力士。

 

 押してよし、組んでよし、右も左も使えて投げ技も隠し持っている。若い頃には宇良のような業師のイメージもあった力士だというのに。

 

 花のロクイチ組最後の大物が牙を剥こうとしている。

 西前頭17枚目、幕内の最下位。上記の花形4力士を差し置いて、徳勝龍が優勝したら。

 世間はどんな反応をするのだろう。

 

96回箱根駅伝感想 11位~15位

11位(往路12位・復路11位) 中央学院大学 予想順位:11位

敢闘賞:有馬圭哉4年 9区2位 1:08:56 後方での好走は実力がある証拠

来年度の風向き

 

 目立たないながらにシードを獲得し続けていましたが、今年はシード落ち。数年前にはダークホースと目されていましたが、ややピークを過ぎてしまった印象です。山はそれなりに走れるのが救いですが、現在の主力は上級生に固まっているため、早いうちに立て直しておきたいところです。

 

12位(往路13位・復路12位) 中央大学 予想順位:17位

敢闘賞:二井康介4年 10区6位 1:10:18 唯一の4年として最後までシードを諦めない走り

来年度の風向き

 

 1年生主将舟津の最終学年でしたが、出走すら叶わず。あれほどシードを取り続けていたのに、一度落としてからは未だに戻ることができません。決してブレーキが出た訳ではないのですが、全体的にあと一歩シードを狙うには届かなかった印象です。一人空気を変えてくれるエースがいればまた結果は違うのでしょうが・・・・・・

 

13位(往路10位・復路17位) 拓殖大学 予想順位:14位

敢闘賞:ラジニ・レメティキ1年 2区2位 1:06:18 孤軍奮闘

来年度の風向き

 

 躍進となった去年から一変、レメティキが目立った他は見せ場を作ることができませんでした。ややバランスが悪く、一時期の日本大学のような状況になってしまっています。吉原や石川は本来の実力はもう少し上なのですが、箱根に限らず今シーズンは調子が上がらないままでした。まずは全員がコンディション最高の状態でレースに臨みたいところです。

 

14位(往路14位・復路15位) 順天堂大学 予想順位:10位

敢闘賞:橋本龍一4年 3区10位 1:03:03 悪い流れを何とか止め、区間10位だがタイム的には好タイム

来年度の風向き

 

 大エース塩尻と山のスペシャリスト山田が抜ける中、健闘したほうだと思います。しかし、最後には地力の差が出てしまいました。前年シード最弱も覚悟した今季、偉大な上級生の穴を埋めるために奮闘しました。成長率でいえば、トップクラスに入るはずです。しかし、距離に対する不安までは克服しきれませんでした。箱根駅伝の距離がもう少し短ければ、さらに上の順位も狙えたはずです。

 今度の新入生は粒ぞろい。1年でのシード復帰を目指します。

 

15位(往路16位・復路14位) 法政大学 予想順位:7位

敢闘賞:青木涼真4年 5区4位 1:11:06 やはり山には強かった

来年度の風向き

 

 毎年どれだけ下馬評が低くても、山でジャンプアップする法政大学。私自身それを理由として持ちタイムよりもかなり上に予想していましたが、山で快走してなお届きませんでした。さらに来年にはその山要因、青木が姿を消すことになります。状況は厳しいですが、だからこそ開き直って現有戦力の成長を願いましょう。昔から妙なところで活躍するのが法政大学ですから。

 

96回箱根駅伝感想 7位~10位

7位(往路9位・復路5位) 早稲田大学 予想順位:12位(大穴)

敢闘賞:鈴木創士1年 7区2位 1:02:56 シード奪回のキーマンに

来年度の風向き

 

 期待と不安が入り交じる中、何とか面目は保った形となりました。しかも区間順位をよく見ると、こちらも帝京大学と同じく山の2区間で大きく順位を落としただけで、平地では軒並み好走しています。

 元は黄金世代として入学したランナー達。何とか山要因を育成して1度は栄冠を勝ち取りたいところです。

 

8位(往路8位・復路8位) 駒澤大学 予想順位2位

敢闘賞:田澤廉1年 3区3位 1:01:25 ルーキーにして従来の区間記録を超える大記録

来年度の風向き

 

 決して悪くはない結果ですが、期待値は下回った印象です。これまでであれば優勝も狙えるタイムでしたが、全体のレベルが上がっているだけに区間賞にも届きませんでした。すぐに優勝できると思われながらはや10年以上。常勝軍団駒澤の復活は、果たしていつになるでしょうか。

 

9位(往路7位・復路9位) 創価大学 予想順位16位

敢闘賞:嶋津雄大2年 10区1位 1:08:40 大逆転でシードを呼び込む区間

来年度の風向き

 

 最初と最後をしっかり抑える形となりました。区間2位と区間賞。1つの差であっても、その間には大きな差があります。やはり区間賞を出す事でチームも勢いづくってものです。今後、シード常連になる可能性も十分秘めているでしょう。

 

10位(往路11位・復路7位) 東洋大学 予想順位5位

敢闘賞:相澤晃4年 2区1位 1:05:57 衝撃のモグス超え達成、日本の新エース誕生

来年度の風向き

 

 東洋(も)贔屓なので語らせてください。

 ここ10年の東洋大学では考えられないブレーキの連発。一方で快走という言葉でも足りない爆走もあり、上がり下がりの激しいレースとなりました。

 これまで箱根駅伝といえば2区・5区・6区を抑えておけば確実に上位進出できていますが、その常識が通用しない波乱の展開でした。いいえ、重要区間をしっかり抑えた事で何とかシードに入ったと言うべきでしょうか。

 2区相澤の活躍はもう言うに及ばざるでしょう。5区6区はここ数年苦労していただけに、去年一昨年にこの結果が出ていればと惜しさを感じます。

 雰囲気は2009駒澤(前回優勝&全日本優勝でありながらまさかのシード落ち)に似ており心配されましたが、後続の中央学院がブレーキ気味だった事もあり、何とか最後のシード枠に滑り込むことができました。

 思えば東洋大学の覚醒前夜。日大に激しく追い上げられ、シードを落とすかといったところで東海大学の棄権に救われる形でシードを獲得していました。翌年に柏原が登場し、以降東洋大学は駅伝の名門となりました。今回はそのデジャヴのような展開でした。

 しかしギリギリであってもシードを取ったということが大切です。そのおかげで、これまでと変わらない計画で調整をすることができます。幸運にもリベンジの機会が与えられたのです。

 相澤と今西が抜け、大きな戦力ダウンとなります。ただ、残るメンバーは今年が悪すぎただけでここが底とも感じられます。とにかく、西山には早く復活してもらわなければ話になりません。ここ最近目立っていなかった新入生も、今春は良い補強ができたようです。足し引きトントンといったところでしょう。

 その一秒を削り出せ。その言葉は今や全チームに根付いています。逆襲の東洋、もう一度反転攻勢を狙いたいところです。

96回箱根駅伝感想 4位~6位

4位(往路6位・復路3位) 帝京大学 予想順位:6位

敢闘賞:遠藤大地2年 3区2位 1:01:23 ヴィンセントの影に隠れるもスーパーレコード

来年度の風向き

 

 シーズン途中までは調子が上がらず心配されましたが、最後にはしっかり持ちタイム通りに仕上げてきました。しかも区間順位の内訳を見てみれば、5区6区で大きく後退しただけで平地ではとんでもないタイムで走っています。

 山の区間は走力よりも適正が重要なので読みにくい部分がありますが、もし山を安定して走れる選手を育成できれば。

 来年には一気に優勝戦線まで上がってくる可能性もあると見ています。

 

5位(往路3位・復路6位) 東京国際大学 予想順位:8位

敢闘賞:イェゴン・ヴィンセント 3区1位 59:25 史上最強留学生現る

来年度の風向き

 

 かねてより期待の高かった東京国際大学。ついにシード圏に届きました。単に勝つだけにあらず、役者が揃い本当に面白いチームになりましたね。

 特に伊藤と相澤の併走は、箱根史に残る名シーンといえるでしょう。来年以降のOPにも使われる場面になりそうです。

 併走しながら笑っている場面は衝撃的でした。心からライバルとの競い合いを楽しんでいる様子が伝わってきました。

 元から相澤をライバル視していたそうですね。苦しい場面ではなく、こんなにも清々しい光景。これこそ駅伝の魅力だと見せつけられました。

hochi.news

 伊藤は卒業しますが、ヴィンセントは来年以降も在籍します。ヴィンセントはモグス以来の本物です。ワールドクラスを大学駅伝で見られる幸せ。あと3回、どこまで記録を作るのでしょうか。

 もちろん、シードを維持するためには下級生の成長が不可欠でしょう。ヴィンセントに頼らず、活かせるだけのチームを作れるなら、それが新たな伝統となるはずです。

 

6位(往路5位・復路4位) 明治大学 予想順位:9位

敢闘賞:阿部弘輝4年 7区1位 1:01:40 エースが区間新記録で有終の美

来年度の風向き

 

 ようやくここ数年の低迷から脱し、シード圏内に戻ってきました。阿部は明治大学が一番苦しい時期からのエースですからね。報われて良かったです。

 古豪扱いの明治大学ですが、現勢力としては新興チームと一緒に上がってきたチームです。次の上位常連を目指してほしいですね。

 

 

大穴狙い幕内最高優勝予想 令和2年初場所編

 なかなか次の時代が見通せない中、今年の大相撲が始まります。

 思えば1年前にはまだ稀勢の里も現役でした。来年の初場所、どのような勢力図で迎えるのか、全く予想が付きません。

 

大穴狙い幕内最高優勝予想

 ここ最近ずっと蜂窩織炎で低迷していましたが、ようやく癒えてきたようです。

 再入幕の場所ではありますが、元々は下位では大勝ちできる典型的なエレベーター力士。エレベーター力士と名が付いていても実際にはそこまで勝てない力士もいますが、勢の場合は本当にエレベーターができていました。

 本来の力が戻っていると考えれば、今場所も大勝ちが望めます。上位陣が本当に千秋楽まで揃うか分からない中、下位で淡々と勝ち進むうちにいつの間にか、といったこともあるいはあるかも知れません。

 

その他注目力士

千代鳳  東十両13枚目

照ノ富士 西十両13枚目

魁    西十両14枚目

 

 運命の悪戯か、長期ブランクからの再十両が申し合わせたかのように相次ぎました。千代鳳は13場所ぶり、照ノ富士は10場所ぶりかつ大関経験者として初の復帰、魁に至っては30場所ぶりの表舞台です。

 一度地獄を見た3人。これからどのような活躍を見せてくれるのか、期待したいですね。

 

磋牙司  西幕下14枚目

 

 上記3人どころか、こちらは丸5年以上関取の座から遠ざかっています。年齢も38と、常識的に考えれば関取復帰は絶望的な数字です。

 しかし磋牙司は絶対に諦めません。実は一度、勝ち越せば復帰という場面までもっていった事があります。しかしその時はあとたった1勝足りずに復帰を逃し、その後番付は降下していきました。

 惜しかった、あともうちょっとだったのに。並の力士であればこれまでで終わりです。

 ところが、磋牙司はまだ燃え尽きていませんでした。着実に勝ち越しを続け、今場所またしても復帰可能性を残す幕下15枚目圏内に入っていたのです。

 終わらない夢を磋牙司にみるのもまた一興。

 

夢道鵬 東序ノ口27枚目

 

 大鵬の孫にして貴闘力の息子であり納谷の孫。こんな場所で触れるまでもなく注目されており、間違ってもB級ではありません。

 しかし前相撲の成績は芳しくないものでした。同じ序ノ口27枚目の西方が服部桜。このことで現在の立ち位置が分かるかと思います。

 もしかすれば、これまでに注目されてきた力士のようなスピード出世は難しいかも知れません。それでも夢道鵬は挑みます。

 案外何事も無かったかのように勝ち進むかも知れません。あるいは名前だけが知られている下位力士に納まってしまうかも知れません。それは誰にも分かりませんが、1つの大きなドラマが始まった事だけは確実でしょう。

 

96回箱根駅伝感想 1位~3位

1位(往路1位・復路1位) 青山学院大学 予想順位:4位

敢闘賞:岸本大紀1年 2区5位 1:07:03 早い段階で優勝戦線ラインに入る

来年度の風向き

 

 正念場を乗り切った感のある青山学院大学。1年しか間を置かない優勝ですが、自称していたような"やっぱり強い"ではなく、"まさかの金星"の印象が強いです。

 持ちタイム的にも厳しかったはずですが、たった1年で。いいや、夏以降のたった半年で別のチームかと思えるほどに成長しました。この成長スピードはなかなかお目に掛かることができません。

 今年も多くのメンバーが抜けますが、現状では下級生により強い選手がいるので、まだまだ強さは維持できそうです。しかし他の大学も強くなり、新たな時代が始まろうとしています。決して安泰という訳ではないでしょう。

 今は本当に戦国時代なのか、それとも青学独走時代の1ページでしかなかったのか。それが分かるのは、まだまだ先になりそうです。

 

 

2位(往路4位・復路1位) 東海大学 予想順位:1位

敢闘賞:館澤亨次4年 6区1位 57:17 反撃ムードを作り上げる

来年度の風向き

 

 本当にあと一歩だけ及びませんでした。結果的には、青山学院に対抗できたのは東海だけでした。優勝を逃したのも、例えば去年の青山学院であれば4区、5区のブレーキという明確な理由がありましたが、今年の東海にはこれといった理由がありません。ただ、ほんの少しずつ青山学院に上回られました。

 今回のようなレース運びでは、得てして強力な復路メンバーが力を出し切れずに、先行するチームは先頭効果で独走していくといったパターンが多いですが、そんな中でしっかりと復路優勝を取ったのは熱かったですね。

 出だしの6区で一気に詰められたのが大きかったと思います。登りで詰めた後に下りで離され、「ああ、このままで終わってしまうのかな」とも思ってしまいましたが、なんのその。最後の平地で再び詰めたあの走りが、復路優勝の20秒差を生み出したのでしょう。

 黄金世代が抜け、戦力的にはダウンします。しかし、これまでの東海大学は黄金世代を擁しても勝った事がありませんでした。伊達も佐藤も村澤も、栄冠の2文字は遠かったのです。それをしっかり3大駅伝で1冠ずつタイトルを取ったメソッドは東海大学に根付いたはずです。

 

 

3位(往路2位・復路10位) 國學院大学 予想順位:3位

敢闘賞:中西大翔1年 4区3位 1:01:53 勢いを維持し優勝争いにもつれ込ませる

来年度の風向き

 

 善戦で終わらせず、現実に結果を残し続けた國學院大学。さすがに総合優勝にはあと2枚ほど戦力が足りなかった印象ですが、初夢には豪華すぎるほどの夢を見させてくれました。最後に抜かれても諦めず、10区で再逆転したのも凄かったですね。

 浦野を初めとする強い上級生は抜けますが、このまま一時の勢いにはしたくないはずです。ニューヒーローの出現が待たれます。そして、下級生の中には着実にその候補は片鱗を見せつけ始めています。

 神奈川大学は2年ほどで勢いが止まりましたが、國學院は果たして強さを維持できるでしょうか。

 

96回箱根駅伝感想 順位編

 青山学院のV奪還で幕を閉じた今年の箱根駅伝。高速レースになるのは何となく予想がつきましたが、度肝を抜くようなタイムが次々飛び出しました。

 

まずは予想との答え合わせといきましょう。

1位 青山学院 +3

2位 東海   -1

3位 國學院   

4位 帝京   +2

5位 東京国際 +3

6位 明治   +3

7位 早稲田  +5

8位 駒澤   -6

9位 創価   +7

10位 東洋   -5

11位 中央学院  

12位 中央   +5

13位 拓殖   +1

14位 順天堂  -4

15位 法政   -8

16位 神奈川  -3

17位 日本体育 -2

18位 日本    

OP   関東学生連合

19位 国士舘   

20位 筑波    

 

誤差平均 2.76 

 

 今年は難しかったようにも思えましたが、見返してみれば良い予想ができていました。

 定期的に時代の節目になる大会というものが存在します。10区が伸びて以降、総合タイムが11時間を初めて切ったのは2011年の早稲田大学ですが、アンタッチャブルレコードかと思われたこの記録は、それ以降優勝するには当たり前の成績となりました。

 そして今年、2011年にあと21秒で優勝を逃した東洋大学は、あの年であれば優勝できるタイムで走りながらシードギリギリの10位に終わっています。

 もはや、シードを取るのに11時間を切る必要がある時代に突入したといえるでしょう。今年が特別速すぎたと多くの人が思うはずです。しかし、来年当たり前のようにこの記録が抜かれていく様子もまた目に浮かびます。

 設楽悠太の新記録以来、日本長距離陸上界の止まっていた時間が動き始めたと言われています。総合タイムも平成時代前半から中盤にかけては長い停滞時代を迎えていました。そして箱根駅伝界もまた、令和に再び動き出したようです。

 

 シードが大きく入れ替わったのも新時代を感じさせます。王座を奪還した青山学院も安泰とは限らないでしょう。躍進した國學院、東京国際、創価。あるいは全くのノーマークだった筑波の出場。

 予選会でも麗澤、駿河台といった新興勢が初参加を虎視眈々と狙っています。こういったチームを見て、さらに別のチームが自分達ももしかすればと勇気付けられる事もあるかも知れません。

 

 それにしても、今年でなお記録が塗り替えられずに残った佐藤悠基や篠藤淳、参考記録ですが今井正人といったところは本当に凄かったのだと再確認させられます。

 それでも更新不可能とすら思われたモグスの記録を日本人が抜いた今、来年に抜かれても驚きはありません。そういえば、山の神の登場もやや間が空いてきました。今井の記録が1:09:12であることを考えれば、1:09:30は絶対条件となりそうです。

 

 亜細亜、東京農業、専修といったかつての常連校も随分と久しくなりました。今年出場を逃したチームも、1年で戻れなければ時代に取り残されてしまうという焦りもあるでしょう。令和の時代を彩るのはどのチームになるのか。スタートラインに立つチームすら予想もつきません。