ドラフト会議が終わりました。
今年は注目枠もネタ枠もあまりおらず、地味な印象でしたが、贔屓球団が良い指名だったので満足です。
驚いたのはソフトバンクホークスです。育成で特盛り14人指名。3軍を持つチームは当然指名人数が多くなりがちですが、それでもここまで多くの指名は類を見ません。
後半の選手はほぼ諦めていたところに指名があって喜んだのではないでしょうか。
さて、その中でも最下位、育成14位で指名された選手は福岡大学の仲田慶介。寸評によれば素材型の三拍子揃ったスイッチヒッターとのことです。流石にここまでになると知らない選手でしたが、以前にこのような記事が出ていたようです。
高校で控え→プロ野球を目指すまでに成長。努力の塊・仲田慶介の一芸|高校野球他|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva (shueisha.co.jp)
将来的なリンク切れに備えて概要を述べれば、高校時代までは無名で大学にも一般受験で入ったところを、肩の一芸を磨いてプロにまで届いた選手とのこと。
それも大学に入って伸びたというよりは、高3夏から大学入学までの僅か半年で大化けしたそうです。漫画のような世界ですね。そんな彼は二芸目の脚力強化を狙っているとか。打撃についても大学に入ってから両打ちを始めたにも関わらず、リーグ戦でかなりの高打率を記録しています。
確かにこの信じられない成長曲線を見れば指名されるのも頷けますね。25歳までにプロに行きたいと言っていたようですが、早くも夢が叶いました。
もちろんそう上手くいくとは限らないのがプロの世界です。ドラフト指名された人数分、プロ野球を去った選手が存在し、指名されなかった選手が存在します。
育成選手という名前ですが、実際には育成以前に取りあえずで確保し、ダメならすぐにサヨナラといった立場。去年のドラフトで史上最大の謎指名と話題になった古長選手も1年で戦力外通告を受けました。
それでもスタートラインには立ちました。チャンスすら与えられない選手がほとんどの中、少ないながらもチャンスはあります。だからこそ、一軍のグラウンドに立つ姿を見てみたいのです。
そこでふと気になりました。これまでの最下位指名の選手は今どうしているのだろうと。育成出身といえば甲斐選手が思い付くけれど、彼は全球団では最下位だったっけ?記憶が曖昧です。
ドラフトがおおよそ今のスタイルになって既に10年以上が経ち、結果が出てきています。ここで1度、過去の最下位指名選手を振り返ってみます。
2008年 千葉ロッテ 育成8位 田中 崇博 投手 四日市南高校
寸評:公立高校のエースとして活躍
結果:1軍どころか2軍でも出番が無く1年で戦力外通告。後に病気を理由に独立リーグも退団しているので、健康上の理由があったのかも知れない。
2009年 巨人 育成5位 神田 直輝 投手 群馬大学
寸評:準硬式野球部出身
結果:ファームでも厳しい成績に終わり、2年で戦力外通告。現在高校教員。
2010年 巨人 育成8位 丸毛 謙一 外野手 大阪経済大学
寸評:大学時代にベストナイン3回受賞
結果:ファームの代走要因。オリックスに移籍後、1試合だけ代走で一軍出場を果たす。これからという時に頭に受けた打球が元で任意引退。球団職員に転向。
通算 1試合
2011年 ソフトバンク 育成7位 飯田 一弥 捕手 独立リーグ高知
寸評:強肩捕手が課題の打撃を克服
結果:目立った活躍は無く2年で戦力外通告。ブルペン捕手に転向。ちなみに飯田優也(ソフトバンク→阪神→オリックス)の兄。
2012年 ソフトバンク 育成4位 宮﨑 駿 内野手 三重中京大学
寸評:秋季大会の首位打者。閉校する三重中京大学最後の選手。その名前で話題。
結果:打棒が振るわず3年で戦力外通告。その後警察官に。
2013年 ソフトバンク 育成4位 張本優大 捕手 佛教大学
寸評:大学でベストナイン獲得。日本代表候補だったが最終メンバーには残れず。
結果:キャリア序盤は打撃で頭角を現し、2016年に支配下登録。一軍キャンプにも呼ばれたが、最大のチャンス前にしてスランプに陥り、ついに6年間のキャリアで一軍出場を果たすことはできなかった。現在も球団職員として在籍。
2014年 ソフトバンク 育成8位 中村恵吾 投手 独立リーグ富山
寸評:富山サンダーバーズのセットアッパー。1年で球速が10キロ伸びた急成長を評価される。
結果:ほとんどが三軍での出場。1年で戦力外通告。
寸評:大学時代はベストナイン獲得。独立リーグでの結果は今一つだったが。
結果:ルーキーでいきなり支配下登録、一軍出場も果たす。結果は残せなかったが、先発のマウンドにも立った。
通算 3登板 1先発 0勝1敗 3奪三振
2016年 巨人 育成8位 松澤裕介 外野手 独立リーグ香川
寸評:前年は故障を理由に指名拒否。2年連続のラブコール。この年は不調だったが、前年には打点王獲得。
結果:三軍でも打てず、故障も重なり2年で戦力外通告。
2017年 巨人 育成8位 荒井颯太 外野手 関根学園高校
寸評:無名だったが対戦相手の牧(現阪神)を見に来たスカウトの目に留まる。ロマン砲。
結果:ファームでも出番が少なく、3年で戦力外通告。
寸評:猛打で有名な敦賀気比高校で1年生からレギュラー。強肩の一面もある。
結果:ほとんど三軍での出場だが、首脳陣からの期待は高く現在も育成契約中。
2019年 オリックス 育成8位 松山真之 投手 独立リーグ富山
寸評:出身校は弱小で高校時代は無名の存在。独立リーグでも目立った成績は残していないが、入団テストで素質を見込まれる。
結果:今季はファームで8試合に登板し防御率0.00。覚醒なるか。
2020年 巨人 育成12位 加藤廉 内野手 東海大学海洋学部
寸評:リーグ戦で本塁打王獲得。俊足強肩のユーティリティで走攻守揃っている。
結果:ファームでそれなりの成績。6四死球31三振のフリースインガーだが過去の最下位指名者の中では格段に打てる。
2021年 ソフトバンク 育成14位 仲田慶介 外野手 福岡大学
寸評:急成長の努力家は結果を残せるか
想像以上に厳しい結果。一軍デビューを果たしたのはわずかに2人で、その2人もほとんど出場できず。プロのスカウトから見て当落線上だと、なかなかチャンスも与えられないようです。
あまりにも高い壁、この壁を打ち破る選手は出てくるのでしょうか。育成選手には時間がありません。ルーキー年から一気に覚醒する必要がありそうです。