今から5年前、長く途絶えていた日本出身力士の優勝を琴奨菊が成し遂げて以来、毎年初場所は初優勝者が出る場所となっています。その琴奨菊の優勝以来、大相撲におけるウィンブルドン現象はすっかり過去のものとなりました。
ジンクスはいつか止まるものですが、今年もそれは継続となりました。前にも後にも最大の下克上となった徳勝龍で群雄割拠という一つの時代は完結し、その次に初優勝となった正代や奇跡の復活優勝となった照ノ富士ははこれから何度も優勝しそうな上位の力士、そして今場所久方振りの綱取り力士も登場したことで密かに優勝する力士は絞られてきたのかとも思われましたが、まだまだ主役に名乗りを上げる力士はいたようです。
もちろん、この大栄翔も上位常連といって良い力士なので、このまま大関まで駆け上がる可能性もありますけどね。
先場所終了時とは随分と注目点が変わったように感じられます。両横綱の進退場所は先延ばしとなり、貴景勝の綱取りは最短で崩壊、照ノ富士は大関再挑戦を継続させましたが元々は今場所後の大関はなるかという着眼点でした。正代と朝乃山は比較的早い段階で角番脱出。どこを見れば良いのか分からなくなった盤面で大栄翔が全て持っていったという場所でした。
ここ最近は数場所に渡る一貫した注目点が無いように思われます。以前であれば白鵬がいつも優勝し、稀勢の里がいつ勝てるのかというある種のお約束がありましたから。来場所もまた、今場所とは違った見所があるのかも知れません。
大きな話題とはなっていない宝富士が、千代大龍が、琴恵光が来場所の覇者とならないだなんて、誰が言い切れるでしょうか。
大関陣はなぜか文句を言われていますが、11勝して言われる筋合いは無いと思います。照ノ富士も含めて仲良く同じ数字。ここも含めて大関のほうがしっくりきますね。
それにしても、序盤で早々に脱落したはずの朝乃山がいつの間にか正代と同じ星。気が付けば準優勝です。2桁勝利率はとんでもなく高い力士ですし、もっと目立っても良さそうなのですが。安定して2桁勝てる大関は過去必ず横綱になっています。
皆勤した三役は全員勝ち越しました。その影響からか、平幕の大勝ちはずいぶん少なかった印象です。にも関わらず総なめした大栄翔は、するべくして優勝したと言えそうですね。2差を追い付かれた展開から立て直すのは並大抵の力士ではできませんから。
その三役陣。隆の勝は地味ではありますが、そろそろ大関の声が掛かってもおかしくありません。高安は惜しかったですね。千秋楽勝って再び大関取りの起点としたかったのですが。
御嶽海は、今場所も御嶽海でした。先程お約束が無いと書きましたが、御嶽海こそが今のお約束枠でしたね。あのタイプで面相撲なのは珍しい気がします。高安に、栃ノ心に、貴景勝に、朝乃山に、正代に、そして2回目の照ノ富士にまで先を越されようとしています。このままでは大栄翔に隆の勝に高安の2回目にまで抜かれかねません。本当にあと1勝できれば良いのですが。
十両では勢が残留厳しく、松鳳山も大負け。いつでもメンバーはいつの間にか入れ替わっているものです。世代交代自体は進んでいますが、トップが決まらないという状態が続きます。
場所前に注目していた力士たち
西十両10枚目 水戸龍
水戸龍はどんなに前半調子良くても結局収束してしまいますね。一体どうなっているのでしょうか。一部では星均しなんて呼ばれているとか。これだけ長期間十両にいて幕内に一度も上がれないとは思いませんでした。
東序ノ口28枚目 勝南桜(服部桜)
今場所も貫禄の全敗。自身の持つ連敗記録更新が近付いてきました。番付外転落回避の力士と8番相撲が組まれるのはもはや恒例行事となりましたね。
令和3年春場所番付予想
三役がロックされていますが、さすがに大栄翔は上げない訳にもいかない星なので、張出ができることになるでしょう。一時期全く見られなかった張出ですが、最近はしばしば見られるようになりましたね。大勝ちが少ない一方で平幕上位が軒並み負け越しているので、ラッキーな上がり幅の力士が増えそうです。
正代 大関 朝乃山
照ノ富士 関脇 隆の勝
関脇 大栄翔
高安 小結 御嶽海
宝富士 前1 阿武咲
北勝富士 前2 若隆景
明生 前3 志摩ノ海
霧馬山 前4 妙義龍
逸ノ城 前5 遠藤
幕内と十両の入れ替えはかなり微妙なところですが、来場所17枚目が無くなりそうな事を加味して3枠入れ替わると予想します。
↑ 英乃海・剣翔・大奄美
十両と幕下の入れ替えは順当に終わりそうですね。
↑ 貴健斗・武将山・一山本・錦富士
↓ 竜虎・勢・王鵬・琴勇輝