序盤から荒れた場所でしたが、最後に生き残ったのは横綱でした。
調子が悪くても優勝できる力士だから、照ノ富士は横綱になれたのでしょう。
場所前の期待からすれば、先場所を沸かせた若隆景は2桁に乗らず、高安は負け越し。覚醒したかに思われた正代はすっかり逆戻りで、御嶽海も悪い時の御嶽海。ハマれば強い枠だったはずの貴景勝はギリギリでの勝ち越し。
上位が崩れるとダークホースに期待が集まりますが、順当に横綱が優勝。その横綱にしても、強さを見せた訳でなければ、特別ドラマ性のある優勝でもない。
終盤照ノ富士が大関3連戦を前にして、これは3連勝するだろうという空気感が流れ、全体的に低調な印象でした。
とはいっても、毎場所地殻変動が起きる訳ではありません。こういった場所があって、歴史が作られていきます。朝青龍や白鵬が連覇していた時代の、真ん中くらいの場所なんて、記憶が混在していますから。
それに、今は気が付いていないだけで、後から見ればターニングポイントだったということはよくあります。例えば大栄翔。今場所を起点に大関に上がれば、それは後年には大事な場所だったとなるでしょう。琴ノ若だって、流石に3場所連続の優勝争いとはなりませんでしたが、上位で充分通用することを証明しました。豊昇龍と霧馬山のモンゴル新鋭2名も、覚醒前夜です。
場所前に注目していた力士たち
錦木 西前頭10枚目 8勝7敗
相変わらず地味な結果ですが、これで5場所連続の勝ち越し。一時は幕下転落の危機に瀕していましたが、完全に低迷期を抜けました。華のある相撲と好青年ぶりで、少し知名度も出てきたように思えます。
実は今場所、土俵外に出されて負けたのは1番だけ。1つ歯車が合えば、物凄い成績を残すのではと思われます。来場所にも注目ですね。
ついに陥落。そこまでベテランのイメージはありませんが、大卒入門だけにはや30歳。岐路に立たされます。すぐに引退ということはないと思いますが、十両の番人が幕下に落ちると復帰が厳しい傾向にあります。旭大星はあっという間に三段目まで落ちて、今場所も全休。
とにかく大翔丸は来場所勝ち越すこと、そして怪我をしないことが大事になりそうです。
番付予想
ただでさえ三役が空かない上に、逸ノ城が据え置きになると尚更上が詰まります。小結11勝は張出を作ってでも関脇に上げてもらえるので、千秋楽阿炎が勝っていれば、3関脇2小結と三役昇進枠が1つできたはずですが、それも叶いませんでした。
大栄翔は大関挑戦スタート。若隆景も何とか9番勝ったので、来場所大勝ちすれば昇進の可能性もあります。
宇良と若元春はもう半枚上げても良さそうですが、2枚しか上がっていない隆の勝との比較もあり、遠藤と翔猿を仲良く据え置きにしたほうが納まりが良いです。
幕内上位
大関 正代
若隆景 関脇 大栄翔
豊昇龍 小結 阿炎
霧馬山 前1 逸ノ城
琴ノ若 前2 隆の勝
玉鷲 前3 高安
遠藤 前4 宇良
若元春 前5 翔猿
幕内ー十両入れ替え
陥落する星は4力士、昇進できる星は5力士。英乃海も入幕の可能性はありますが、大奄美と錦富士に差をつけるのにも違和感があるので、やや星が不足しそうです。もし千秋楽東龍が勝っていれば、東龍幕内残留で1枠減り、結果的に英乃海が昇進という可能性もあったのですが。枠が増えたことで、なぜか昇進できなくなるというバタフライエフェクトがありそうです。
↑ 千代丸・剣翔・大奄美・錦富士
↓ 石浦・荒篤山・輝・東龍
十両ー幕下入れ替え
幕下転落必至かと思われた北の若は奇跡的に残留できました。貴健斗・千代栄・西川の3力士で2枠を争う形になりそうです。幕下の2力士はどちらも貴健斗に勝っているので、すっきりするのは貴健斗を落としてどちらも昇進させる形です。
ですが、ここ最近は意地でも入れ替えない傾向があります。直接対決の結果もほぼほぼ無視されてきたので、今回も貴健斗残留と予想。もし、そうであれば、2場所続けて十両最下位負け越しからの残留ということになります。
千代栄と西川も微妙なラインですが、最近4勝には厳しいので、千代栄のほうが強い星と予想します。東筆頭なら確実に上がれていただけに、東西での差が大きすぎるように思えますね。西川は先場所も番付運に泣かされていますし、いい加減上げてほしいと思います。新十両発表を待ちましょう。
鳴門部屋からいよいよ関取誕生。千代栄も昇進なればついに悲願達成。非常に楽しみです。大翔丸はこの千代栄より年下ということで、何とか踏みとどまってほしいですね。
最後に松鳳山。引退濃厚(名跡を取れていないので、借株等の算段が付いていないなら空き待ちで現役続行の可能性もあり)ですが、どんな決断をしたとしても、来場所の土俵は寂しくなりそうです。
↑ 欧勝馬・北青鵬・千代栄