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大相撲令和5年夏場所感想&名古屋場所番付予想 照ノ富士は三度輝く

 ハイレベルな場所になりました。帰ってきた照ノ富士横綱らしさを見せる一方で、猛烈な昇進レースを繰り広げる関脇4人は全員2桁勝利。こちらも復帰場所となった朝乃山が期待に応える大勝ちをすれば、ダークホースも場所を盛り上げ、非常に熱い夏場所でした。

 来場所には関脇の3人が揃って大関取りの場所になります。つぶし合いでなかなか上がれなった三役陣が、取りこぼさず全員が強くなるという形で、解放されるかも知れません。入門当初から注目されていた豊昇龍だけでなく、不人気シリーズ(大翔シリーズ)の一角扱いされていた大栄翔や、弟の陰に隠れがちだった若元春が力を付け、抜け出す力士となり始めました。

 戻ってきた朝乃山はやや脆い部分も見せていたので、来場所に真価が問われそうです。

 十両もハイレベルな争いになりました。優勝した豪ノ山の14勝は、星が拮抗する十両では破格の数字。その豪ノ山と同点力士がいたのも驚きですし、次点力士もいました。11勝の湘南乃海も、普段であれば優勝の可能性があったはずです。この湘南乃海、つい昨年までは期待されながら十両に上がれない枠だったのに、化けましたね。

 落合は遠藤以来の3場所通過で幕内へ。遠藤は大卒力士の上澄みの上澄みで、アンタッチャブルレコードに近いものでしたが、それを高卒力士が果たしたのは衝撃的です。あまりにも凄すぎて、逆に現実味がなくて評価しきれていないとすら感じさせます。これは間違いなく本物です。毎年出てくる新鋭と比べても桁違いの期待ができます。

 一方、逸ノ城に続いて栃ノ心も引退と寂しい話題もありました。一時期は目立っていた欧州勢ですが、随分と減りましたね。栃ノ心の引退に涙していた碧山は危ない状況でしたが、千秋楽に合口最悪だった北勝富士を倒して生き残りました。36歳のベテランですが、まだまだ魂は折れてないようです。

 その碧山も含め、かつて幕内で見かけていた名前はもう数える程になりました。いつでも世代交代は、為されてから気が付きます。碧山、玉鷲、宝富士、妙義龍、高安。あとどれくらい姿を見られるか分かりませんが、その雄姿を今のうちに目に焼き付けておいたいところです。

 

 

今場所の注目力士たち

明生 東前頭6枚目 8勝7敗 殊勲賞

 前半はもしかして本当に?と思わせる強さでした。好調だっただけに怪我はもったいなかったですね。何とか故障前に勝ち越していたおかげで殊勲賞を獲れたので、ヨシとしましょう。

 

川副 西幕下筆頭 5勝2敗

 先場所不運な昇進見送りを喰らいましたが、今場所は文句なし。無事に新十両となれそうです。

 

照強 西幕下5枚目 2勝5敗

 まだ下げ止まらず。これは厳しい結果に。同じような状況の徳勝龍は36歳なので年相応ですが、一番脂がのっている時期の力士がどうしてしまったのでしょうか。

 

荒剛丸 西序二段20枚目 1勝4敗1休

 残念ながら途中休場。取的は休場が致命的なほど番付を下げるので、三段目昇進はしばらくお預けです。

 

瞬鶴 西序二段36枚目 5勝2敗

 三段目昇進の期待といえば、こちらも。場所前には名前を挙げていませんでしたが、気になっていました。というのも、かつては前相撲で全敗スタート、序ノ口で6場所連続負け越しと大苦戦していた力士なのです。残念ながらこういった力士は普通、稀に序二段で4勝できれば良いといった程度で、序ノ口に住み着いてしまう場合が多いです。そこからスタートした力士が三段目まで上がるのは、かなりレアな現象。少しずつながら強くなってきた結果です。まだ20歳なので、さらに上も目指せそうです。

 

 

照ノ富士 横綱

 貴景勝 大関 霧馬山

 豊昇龍 関脇 大栄翔

     関脇 若元春

 琴ノ若 小結 阿炎

  錦木 前1 翔猿

  正代 前2 御嶽海

 翠富士 前3 明生

 朝乃山 前4 宇良

 平戸海 前5 阿武咲

  王鵬 前6 高安

 北青鵬 前7 玉鷲

佐田の海 前8 隆の勝

 金峰山 前9 錦富士

北勝富士 前10 琴恵光

 妙義龍 前11 千代翔馬

  剣翔 前12 若隆景

 豪ノ山 前13 琴勝峰

 大翔鵬 前14 竜電

 宝富士 前15 湘南乃海

  遠藤 前16 碧山

  落合 前17 武将山

 

熱海富士 十1 

  狼雅 十2 水戸龍

 一山本 十3 島津海

 欧勝馬 十4 玉正鳳

 北の若 十5 東白龍

 藤青雲 十6 白鷹山

 天空海 十7 美ノ海

 貴健斗 十8 友風

 大奄美 十9 千代栄

  東龍 十10 志摩ノ海

 千代丸 十11 對馬洋

 英乃海 十12 獅司

  川副 十13 紫雷

  勇磨 十14 千代の海

 

 栃武蔵 下1 大の里

 時疾風 下2 炎鵬

  高橋 下3 木竜皇

 向中野 下4 荒篤山

  石崎 下5 魁勝

 

 ようやく大関定員割れの危機が去りました。豊昇龍が3場所小結勝ち越しで関脇に上がったように琴ノ若が上がってくれれば錦木にも新三役の目が出てきますが、ここは三役の数を元に戻したいだろうという意図がはたらくとみて、小結止まりと予想します。

 幕内中位、特に玉鷲佐田の海、隆の勝の7-8トリオの1つ上が誰も入らずに難解です。緊急時以外で負け越し力士が上がるはずはなく、豪ノ山もここ10年の運用を考えればあり得ません。北青鵬を上げるか、金峰山を下げないかの2択となります。高安と金峰山の差を開くか、北青鵬と北勝富士や琴恵光の差を開くか、どちらかを許容しなければなりません。

 どの場所においても違和感がありますが、王鵬とのバランスもありますし、全員がギリギリで許容範囲内のずれになるよう予想しました。

 

 幕内と十両の入れ替えは微妙なラインです。輝、武将山、熱海富士の比較となりますが、単純計算で1番上の熱海富士は、数場所前にあった天空海と水戸龍の比較を考えると、厳しいように思えます。最近の入れ替えにくい傾向から考えると輝の残留もあり得ますが、それでも3枚目10勝は強いのではと考え、武将山昇進と予想しました。

 十両上位~中位はスカスカに。負け越してもほとんど下がらず、8-7でも大きく番付を上げそうです。渋いよりは良いとも言えますけどね。

 

 幕下との入れ替えは、炎鵬と千代の海が微妙なところです。普通であれば絶対に落ちる状況ですが、似たような地位での全休で生き残った例として貴ノ岩がいますが、あの時と比べて絶対に上げる力士がいないという状況ではありません。ここ最近の入れ替えない方針を加味しても、炎鵬は残れないと判断しました。