化けない狐のB級応援!

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泡沫候補とインディーズ候補

 今年の統一地方選挙では激震が走りました。永遠のインディーズ候補マック赤坂さんが、マック赤坂議員になったのです。

 

 参議院選挙ではれいわ新撰組とN国党、2つの新たな政党が政党要件を獲得しました。これはかなりの波乱です。かつてはミニ政党で溢れた国会ですが、確認団体に厳しくなって以来、これまで壁を破った集団はいませんでした。知名度の高い新党大地ですら届かなかった程です。それが一気に2つも誕生したのですから、衝撃的というほかありません。

 事前の予測では、れいわ新撰組は1議席取れるかどうかで、中央値は0。これは政党要件も絶望的な数字でした。これが2議席台の半ばまで伸びたのですから、一時の勢いとは言えない支持を集めたようです。

 N国は当初当選圏内には全く入ってませんでした。こちらは全国ほとんどの選挙区に候補を立てていたので、政党要件を獲得する事はある程度予想できましたが、比例区でも2%あと一歩まで伸びるとは思いもよりませんでしたね。

 

 日本初のポピュリスト政党と日本初のワンイシュー政党が誕生したとする向きもあります。ともかく、これまでとは全く毛色の異なった議員が当選したということです。

 投票率も低く大勢も動かなかったので低調に見えた参議院選挙ですが、選挙そのものはとても面白い結果になりました。

 

 インディーズ候補泡沫候補を言い換えた言葉だとされていますが、実際に使われているニュアンスは少し異なっているように感じられます。

 インディーズ候補は見た目で目立つような票数より知名度が先行した候補、先のマック赤坂さんを代表格とするような集団を思い浮かべます。

 ところが実際に選挙を見てみると、そういったトリッキーな活動はしておらず、政策をみても既存政党と似たようなものを掲げている。そんな不思議な候補が相当数存在しています。泡沫候補と聞いて思い浮かぶのはこちらですね。

 

 しかしこれまで、この手の候補者は話題にこそなれどいつまでも当選に届く事はありませんでした。

 あと一歩に迫った事はありました。夕張市長選挙に羽柴秀吉さんが立候補した時、大いに注目を集めました。それでも、あと一歩止まりだったのです。これを乗越えたという意味で、今回の選挙はやはり大きいものであったと言えるでしょう。

 

 今はまだ色物扱いですが、一歩ずつ変わっていく事が感じられる結果でした。当たり前のように立候補できる時代になればもう少し関心も高まるでしょうし、インディーズ候補泡沫候補というのはそれの先駆けとも言えるのではないでしょうか。

 

 

 

参議院選挙の泡沫政党を振り返る

 今回晴れて泡沫政党を卒業した2政党だけでなく、様々な政党が比例区に挑みました。それぞれの結果を振り返ってみましょう。

 

安楽死制度を考える会

比例得票率 0.54%(-0.62%) ※支持政党なしとの比較

 ここは前回選挙まで「支持政党なし」として活動していた政党です。毎回当選者が出ると噂されながら届いていませんでしたが、今回はほとんど目立ちませんでした。

 直接民主制の主張はこれまでのどの政党とも被らない上に、需要も多いので新たな試みとしてはアリ。これから広がっていく可能性を感じさせてくれましたが、これではよくあるワンイシュー政党に逆戻り。ちょっと残念に感じていたりもします。

 N国とも組みたいと言っていましたし、当人達としてはああいう政党を目指したかったのかも知れませんね。

 

幸福実現党

比例得票率 0.40%(-0.25%

 泡沫政党の規模としては大手の部類に入ります。ほぼ全選挙区に立候補していた時もありますからね。これができるのは資金力があるからですし、やっぱり金を持っていないと難しいのかなとも思ってしまいます。

 しかし宗教団体を母体としているおかげで資金は集まりますが、それ故に無党派受けはほぼ不可能です。捨て票先として機能できないのは、この手の政党としては致命的でしょう。

 あまり知られていませんが、一時的に他の党にいた議員を在籍させていたので国会に議席を持っていた事もあるんですよね。この方法は今後他の泡沫政党も応用してきそうです。

 

オリーブの木

比例得票率 0.34%(-0.49%) ※国民怒りの声との比較

 他の泡沫政党と比べると比較的普通?の政策を打ち上げている印象を受けます。立候補者を見ても、野党系の公認漏れ候補も多く在籍しているようです。母体こそ異なりますが、メンバーからすれば国民怒りの声からそのまま流れてきているようです。

 他の泡沫政党との違いは主要政党出身者が多くいる事ですね。それ故に他との違いを打ち出しにくかったように思えます。元より野党共闘の一貫でオリーブの木構想がありましたが、その名前を先に使ってしまった形となりました。

 それにしても、かつては当たり前のように主要政党の政治家として活動していた人でも当選圏の遥か外にはじき出されてしまうあたり、政党要件の厳しさを感じられます。


労働の解放をめざす労働者党

 比例得票率 0.16%

 実は前身は55年体制下からあるかなりの老舗政党だったりします。衆議院選挙でも1人擁立をしていましたね。新社会党ですら滅多に公認候補を出さないのに、今更国政選挙に参入してきた事には驚かされました。れいわが居なければとの声も聞かれますが、あちらは若向けのフレッシュさで支持を集めたので、老舗政党ではどちらにせよ難しかったかなーと。

 

その他個人的に気になったインディーズ・泡沫候補

 野末陳平

 87歳というとんでもない高齢にも注目ですが、これまで4期も参議院を務めている人が無所属で出てきた事にも注目です。実に四半世紀も議員であった訳ですから。

 どうして今出てきたのかは本人のみぞ知るですが、こっそりと有名人が混じっていた雰囲気を感じ取りました。一見するとすっかり泡沫になってしまっていたようにも思えますが、よくよく見れば社民党の候補よりも票を取っています。腐っても経験者、という事でしょうか。

 

  多くの泡沫政党の特徴として、次々と党の形が変わってしまう事が挙げられます。一度は目立ったとしても、次の選挙に同じ名前で登場する事は稀ですから。

 ですが、目新しさで入る票よりも知名度を増やせないマイナスのほうが多いと思うのですよね。同じ名前を使い続けているミニ政党は、地方議会の定数の多い自治体や定員割れをしている自治体などを利用して、曲がりなりにも議員を持っています。それがどれだけ小さな勢力であったとしても、0と1とは大きな違いです。長く続ける事もまた大切だと思いますね。

 

 見ている分には楽しいですが、探してみれば意外と合う政党が見つかったりもします。棄権をするくらいなら、こういった政党に入れてみるのも1つの答えでしょう。