化けない狐のB級応援!

一流所ではないし名脇役でもないけれど、ちょっとは活躍していて。 ブレイクはした事ないけれど、プチブレイクはしていて。 そんなB級を応援しよう。

令和元年九州場所感想 待てど暮らせど世代交代は遠く

 今年も全ての本場所が終了しました。いよいよ本格的に荒れ出したと感じた昨年から、ますます混迷が深くなった今年でしたね。

 

 神EDことthe千秋楽稀勢の里の引退が映り、あれはまだ今年の事だったのかと驚いたものです。そういえば、ここ最近はずっと音声無しBGMのみのEDでしたが有りに戻ったのですかね。

 稀勢の里だけでなく、豪風安美錦嘉風と人気力士の引退も多い1年でした。贔屓力士の大喜鵬も引退してしまい、とにかく寂しい思いです。

 

 場所前に大穴狙い幕内最高優勝予想として挙げていた友風はあんな事になってしまいました。竜電あたりがフォローしてくれないかな。彼に限らず、ピンポイントで勢いのある若手が次々と長期離脱をしていく印象です。本当に何とかならないものですかね。

 

 今場所は塩場所でしたが、それはまだ良いとしましょう。優勝争いが盛り上がらなくても、応援している力士に一喜一憂できれば、それはそれで楽しいですから。以前にも白鵬が独走して平幕1人だけが何とか追っていく場所がありましたが、その時に追っていたのが贔屓の碧山だったので、あの場所は私にとっては楽しかったです。

 しかしどういう訳だか、贔屓関取が揃いも揃って負け越してしまいました。しかも淡々と負けていくんです! 絶対に呪われていると思います! 悲しすぎて、今場所はあまり楽しめませんでした。

 

 先場所、これからの主役を決する戦いにすら思えたあの気持ちはどこへ行ってしまったのでしょう。貴景勝はここ数場所とうって変わって影が薄いままでした。御嶽海は大関どころか連続三役在位すら途切れてしまいそうです。

 主役といえば、高安が優勝するよりも陥落のほうが早いとも思っていませんでしたね。同じく今の上位を固める力士を全員揃えたかのような4小結はみんな頑張りましたが。上への期待はもう一段階の覚醒が必要ですね。あと一歩の力士は多いですが、その一歩に届く力士は滅多にいるものではありません。

 

 思い起こせばもはや遥か昔、2012年頃には盤石だった白鵬に陰りが見え始め、大関は過去最多の6大関に。久方振りの平幕優勝に、新横綱の登場。翌年には遠藤・大砂嵐・照ノ富士逸ノ城とニューヒーローが続々出現し、いよいよ時代が動くかと思われていました。

 ところがすぐにでも大関になると思われた栃煌山妙義龍隠岐の海は、いつまで経っても候補のまま。

 数年後、とうとう化け物が現れたと感じたのは照ノ富士でしたが、故障で大幅に指針が狂いました。

 琴奨菊の10年ぶり日本出身力士優勝からというもの、これまで賜杯に手の届かなかった力士にもチャンスが回り、確かに時代は動き始めました。ところが今度は動くばかりで定まる気配がありません。

 稀勢の里が悲願の優勝そして綱に届き、高安も大関昇進を果たした時点で田子ノ浦の天下がやって来ると見せかけて、あっという間に崩壊。

 そして栃ノ心優勝以降、完全なる戦国時代に突入しました。

 

 新たな期待の星が現れては流れ星として去って行く。何度これを繰り返したことでしょう。これまでにも相撲界には度々過渡期が訪れていましたが、ここまで長期間続いた事はありません。統計的にそろそろ次の時代の形が見えてくるはずと思いながらも、これもまた長くなってきました。

 朝青龍全盛期頃の人気低迷時代から八百長問題前後へかけての人手不足が今になって深刻化してきたのかも知れません。

 

 御嶽海もこのまま妙義龍コースに終わるのでしょうか。その妙義龍がここに来てプチ復活しているのも面白いですが。2018年初頭に、大関候補として三人の力士がインタビューを受けました。その時のコメントは

 

御嶽海「上がりたいというより、今年中にもう上がっちゃうんだろうなって。」

嘉風「みんな無理だと言うけれども、僕は本気。」

正代「現状維持で。」

 

 三者三様、性格の現れた面白いインタビューでしたが、あれから2年。本人も上がる事を信じてやまなかった大関には未だ手が届いていません。嘉風は道半ばで土俵に別れを告げる事になりました。正代は本人の言う通り現状維持だったでしょうか。

 

 ここ半年で一気に力を付けた朝乃山だって安心はできません。時間を掛けすぎれば、それだけ大関の座は霞んでいきます。勝負はもう来年中でしょう。

 来年中という意味では、貴景勝にも同じ事が言えるかと思います。押し相撲では横綱は無理との論調が多数を占めていますが、今の上位空白時代のうちに上がりきってしまえば可能性はあると思うのですよね。

 

 the千秋楽のラスト。白鵬をバックに壁を越えるのはの文字。今の土俵を見事に表現していると言えるでしょう。

 今の三役常連の中から誰かが超えていくのか。それとも、十両から幕下上位に大挙して押し寄せている二世三世力士を中心とした次の黄金世代を待つことになるのか。相撲界の明日は、どちらでしょう。来年の締めくくり、ここで何を書くことになるでしょうか。