化けない狐のB級応援!

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99回箱根駅伝感想 時代の流れは変わったか 中編

各チーム分析

1位(往路1位・復路1位) 駒澤大学 予想順位2位

敢闘賞:伊藤蒼唯1年 6区1位 58:22 チーム唯一の区間賞が1年生

来年度の風向き:

 

 大八木監督のラストレースで大願成就となった駒澤大学。ただ勝つだけでなく、独走ではない緊張感のある展開で勝ち切ったことで、本物の強さを手に入れた感があります。意外にも区間賞は1区間のみで、総合力での優勝でした。

 大エース田澤のラストランは競い負けでしたが、急ピッチでの仕上げにも関わらず1時間6分台を出してしまうあたりが化け物たる所以。持ちタイムがヴィンセントよりも速いという、考えられないような走力でした。

 来季以降を見越した時、駒澤大学は選手層も厚いですが、この田澤が抜けた穴がアキレス腱となる可能性もあります。区間3位が1人抜けただけと考えれば大きな影響とは思いにくいですが、田澤の強みは絶対外さないという安心感にあります。前のランナーにとっても走りやすくする効果があったはずです。

 また、今回1つのドラマを完成させたことで、次のモチベーションをどこへ持っていくかも難しいところです。それを乗り越えることができれば、山の快走で登りも下りも4年間は安泰なので、駒澤黄金時代が待っていることでしょう。

 

 

2位(往路2位・復路2位) 中央大学 予想順位5位

敢闘賞:吉居大和3年 2区1位 1:06:34 エース区間でも大暴れの大金星

来年度の風向き:↑↑

 

 戦前から期待されていましたが、旋風を巻き起こしました。優勝にはあと一歩届かなかったものの、最後まで大きく離されなかったことに価値があります。途中まで善戦していても選手層が問われる復路の7区~8区あたりで遥か後方へ追いやられてしまうチームが多い中、最終区までまだ結果は分からないという緊張感を与えてくれました。3位以降と大差が付く中、唯一駒澤と互角の力を発揮しました。

 新入生は高校の有力選手がごっそり入ってくるので、来期も駒澤大学にとって最大のライバルとして立ち回ることでしょう。最多優勝回数を誇るチームに、四半世紀ぶりの優勝が現実味を帯びてきました。

 

 

3位(往路3位・復路9位) 青山学院大学 予想順位3位

敢闘賞:岸本大紀4年 9区1位 1:07:27 今シーズン唯一の区間

来年度の風向き:↓↓

 

 連覇ならず。過去8回で優勝7回、準優勝1回の復路も伸びず、33年ぶり出場だった85回大会以来の区間最下位と、青山学院大学にとってはショッキングな箱根路となりました。直接の敗因は6区の区間最下位ですが、それ以外の区間も今一つ伸び切らなかった印象です。若林の欠場から玉突きで崩れていきましたが、本来は1人の欠場で歯車が狂うようなチームではありません。その点でこれまでと比べると不安要素の大きい大会だったのでしょう。

 青山学院の異常なまでの強さは、不安視された選手や未知数の1年生がことごとく快走してしまうといったものでしたが、今回はそれが見られませんでした。初優勝以降、2、4、4、3、5、4、3、2と来ていた4年生が今回は7人出走しており、戦力の大幅なダウンも心配されます。

 前回最大のピンチだったのは連覇が止まり、強力布陣が卒業した95回大会後でしたが、翌年は下級生が一気に伸びて覇権を維持しました。その時よりもさらに厳しい状況ですが、強さを維持することはできるのでしょうか。

 

 

4位(往路4位・復路8位) 國學院大學 予想順位1位

敢闘賞:上原琉翔1年 7区6位 1:03:21 前区間が伸びなくても慌てない新エース

来年度の風向き:↑↑

 

 上位でも驚かれなくなりましたが、もはやこの結果でも不満。本来はさらに上へ行ける力があったはずです。集団の中にいて牽制しあう場面が多かったのでタイムが伸びなかったですが、単独走なら結果も変わっていたかも知れません。

 力のある伊地知を重要区間の山に配置しましたが、本当は彼を平地に配置して山に適性のある選手を置きたかったですね。下級生も順当に伸びているので、山対策さえできれば次回大会での優勝も見えてきます。

 

 

5位(往路6位・復路5位) 順天堂大学 予想順位6位

敢闘賞:西澤侑真4年 10区1位 1:08:42 ここまで目立たなかった4年生が力を見せる

来年度の風向き:

 

 本来の戦力は圧倒的なはずですが、結果は微妙なものに。どうにも順天堂大学はこういった結果になることが多い印象です。三浦は3年連続の区間2桁でしたが、いい加減大きすぎる期待をするのはやめてほしいですね。どの媒体も「まさか」といった書き方でしたが、三浦が専門とする距離は箱根の1/7程度。過去2年も区間2桁だったのに、なぜか毎回同じ論調です。旧4区であればもう少し活躍できるのでしょうが。

 信頼の置ける伊豫田、四釜といった勢力が抜けるのは不安ですが、その代わりに良い1年生が大勢入って来そうです。来シーズン以降も前線でレースを運ぶことはできるでしょう。完全復活まではあと少しです。

 

 

6位(往路5位・復路7位) 早稲田大学 予想順位17位

敢闘賞:井川龍人4年 3区2位 1:01:58 タイム番長を返上

来年度の風向き:

 

 今回最大のサプライズでした。今季伸びが見られていなかった早稲田大学が本番で爆発。本来の実力を考えれば妥当な位置ではありますが、ここ最近はずっと力を発揮できなかったですからね。評価の難しいチームですが、今後もこの調整ができるのであれば、安定してシードに入ることはできそうです。

 本当のことを言えば、1年生の頃から期待されていた現4年生世代が時代を築きたかったところですが。井川の卒業は気になりますが、大きな影響は与えないと予想します。

 

 

7位(往路8位・復路3位) 法政大学 予想順位10位

敢闘賞:宗像直輝3年 8区1位 1:04:16 高速レースにも対応できるところを見せた

来年度の風向き:

 

 やはり長い距離の法政大学は強かった。毎度持ちタイムはパっとしないのですが、ロード、特に箱根路へ出走すれば、強さを発揮します。

 総合優勝を経験していないチームの中で最も出場回数が多いのがこの法政大学ですが、そこまで強い印象は無くとも実際には古豪と言えるだけの力を持っています。中央大学立教大学が作った古豪復活の流れに乗り、上昇気流を感じさせました。

 今回は粘るだけでなく、快走を見せてのシード入り。優勝争いに参戦するにはスピードも必要になってきているので、さらに上を狙っているようです。

 

 

8位 創価大学(往路10位・復路4位) 予想順位4位

敢闘賞:葛西潤4年 7区1位 1:02:43 最終学年でも強さを見せつけた

来年度の風向き:↓↓

 

 往路、復路ともに最終区で苦しみました。

 今シーズン限りで強かった4年生がごっそりと抜けてしまいます。嶋津と葛西は大エース格といえるだけの戦力で、1人でも強いエースを2人配置できる豪華布陣でした。また、ムルワはこれまでの留学生のイメージに反し、クレバーなレースで好走する選手で、信頼感を持っていました。総合優勝にまであと数kmまで迫った流れで栄冠を獲りたかったところですが、そう上手くはいかないものです。まずは次回大会でシードを維持していくことが大切です。

 

 

9位 城西大学(往路9位・復路10位) 予想順位9位

敢闘賞:山本唯翔 5区1位 1:10:04 山の妖精がチームをシード圏内へ押し上げる

来年度の風向き:↑↑

 

 山でジャンプアップした順位を復路も守り抜きました。山の神の亜種は、これまで何度も出てきましたが、山の妖精という呼称は面白いですね。覚えやすいし、分かりやすいです。個性も出ています。

 ここ数回出場も怪しかった城西大学ですが、今シーズンは好調を維持して箱根でもシードを獲得。来季も死角は無さそうです。今回の出走メンバーは全員がチームに残ります。

 

 

10位 東洋大学(往路11位・復路6位) 予想順位8位

敢闘賞:前田義弘 5区5位 1:11:21 ここで上げなければ木本&梅崎の快走も無かった

来年度の風向き:

 

 東洋大学の粘り強さは折り紙付きです。今回もシード権に滑り込みました。2区で後方へ下がってしまうと、強い選手がいてもなかなか上がれないという場合が多いです。往路は山で快走がなければ絶望といった状況でしたが、希望をつなぐ走りでシードを射程圏に捉えました。しかし復路も出だしが悪く、今度の今度こそシードを落とすかと思われましたが、8区区間賞、9区区間4位でシード圏内にまで戻ってきました。一体どこにこんな力が残っていたのでしょうか。

 ピンチだという事実は変わりません。東洋大学には柏原、設楽兄弟、服部兄弟、相澤と華のあるエースの系譜がありましたが、現在は途絶えています。かつての強さを取り戻すには新エースの出現が待たれます。今回2区に起用された石田は松山欠場による代打なので区間19位は仕方ないですが、本来この石田も鳴り物入りで入学した選手。次は、真のエースとして堂々と2区を走れるようになることを期待しましょう。