看板大関、それは
江戸時代の大相撲において、名前だけを掲載されていた大関の事である。
大関は必ず東西に2人居なければいけないという規定があります。現在では、大関が1人や不在になってしまった場合には、横綱の名前を仮に大関の欄にも記載する横綱大関という形を取っています。もし横綱も大関も不在になってしまった時には、関脇以下の力士を無理矢理にでも昇進させる事になります。
これはあくまで今の規定。長い歴史のある大相撲ですから、かつては違っていました。そんな歴史物の規定が看板大関です。これがどのような地位だったかと言えば、番付や土俵入りにだけ参加し、実際には大関の地位での相撲は取らない力士でした。
せっかくなのだから見た目の良いほうがイイと、実力に関係無く大柄な力士を採用していたようです。
実際に相撲を取るのは本来の実力通りの地位か、看板大関同士での取り組みだけでした。
大関(※実際の力士は幕下で相撲を取ります)
こんな状況でしょう。
変わった制度に思えますが、今も弓取り力士は横綱に代わって取的力士が登場するので、それと同じような感覚だったのでしょう。
厳しい番付社会の大相撲ですが、意外にも形式美にはこだわりがあったのかも知れませんね。
そもそも、番付上大関が必項というルール自体、番付を書く上でより美しくなるようにという意図がありそうです。
けれども、大関不在時を考えてみれば意外と盛り上がりそうですね。うん、やっぱり見た目は重要です。
さて、この看板大関の見た目。大は小を兼ねるよろしく、大きな力士が好まれていました。やっぱりお相撲さんといえば大きいほうがそれっぽいですからね。
とはいえ、見た目の良さのために参加しているのですから、あんまり大露羅みたいにべらぼうに太っているのは不適当でしょう。力士としての均整体型を持つ力士が良さそうです。
もしこの看板大関が今居たのなら、誰が選出されるでしょうか。決まっていた訳ではありませんが、現在の十両~幕下くらいの力士が選出される事が多かったようです。見た目で該当する力士は何人か思い付きます。
身長の上位者であれば190cm以上の十両・幕下力士は
勢・旭秀鵬・東龍・湘南乃海・希善龍・朝弁慶・徳真鵬・塚原・田邊・北勝陽・寺尾・巨東
この12人です。
なるほど、確かに見栄えのする力士達ばかりですね。
この中でも太りすぎず、痩せすぎていない力士を。
せっかくなので、王道の本格派相撲を取れる力士を選んでしまいましょう。
イチオシなのは勢と巨東です。
どちらもまず四股名が良いですよね。看板に相応しそうです。
勢はあの体格に正攻法の四つ相撲、この中では群を抜いています。相撲を全く知らない人に大関だと教えても、バレなさそうです。
巨東は名を体を現すの通りの巨人で、大柄さで言えばトップクラスです。日本人であの体躯は信じがたいものがあります。頭皮が不安要素ではありますが。
看板大関同士の取り組みで勢と巨東が対戦したら・・・・・・
流石に勢の完勝でしょうね。伊達に数年間幕内を張ってはいないですから。
最近は小兵力士に人気が集中していますが、長身力士も迫力があって相撲本来の魅力が凝縮されています。
看板大関は正式な大関が現れると役目を解かれて元の地位へと帰って行きますが、後に実力を付けて本当の大関や横綱になった力士も存在します。名横綱の谷風は元看板大関でした。
勢は今一番苦しい局面を迎えていますし、巨東は停滞が続いていますが、いつか2人が大活躍してくれる事を期待したいですね。